僕は2000年にニューヨークの某音楽レーベルと契約しました。
結果的にレコードリリースの直前で話が頓挫してデビューに至りませんでしたが、その時の経験は今でもメンタル的に役に立っています。
またいつか本気でやれば契約まで行ける、という自信に繋がってるという感じです。
今回は、そのときに提出して評価された曲を作った方法を振り返ってみます。
どうやってアイデア着想したのか、作曲手順や全作業時間の合計もだしてみました。
作曲方法は?
世の中にはいろんな作曲方法があると思いますが、僕が採用した作曲方法は「サンプリング」を取り入れた打ち込みでした。
これはダンスミュージックの中でもとりわけハウスミュージックを作っている人たちが作業している作り方になります。
間ハウスに限らず、ヒップホップやテクノでも同様な手法を取り入れることが多いです。
サンプリングとは、既存のレコードにあるフレーズや単語を録音して、楽器の音や曲の1部として使うことです。
例えばドラムのスネアの音をレコードから録音して、他のドラムマシンなどの音に混ぜて鳴らします。
テープレコーダーのようなものに録音するのではなく、楽器の音のように何度も使いますから、それだと困るわけです。
ではどうするのかと言うと、サンプラーと言うサンプリング専用の機材を使いました。
サンプラーでは音を細く加工でき、長さや高さ、なり方や音質など細かく変えることができます。
また、右と言う企画でコンピュータと接続しこのタイミングでこの長さでこのことでなると言う設定をして鍵盤に音アサインすることも可能です。
こういった機材があって初めて自在にサンプリングできるわけですが、その操作方法も結構大変で、最初のうちはサンプラーの操作を覚えることでいっぱいになってしまい作曲どころではなくなってしまうのが一般的。
しかし、サンプラーを使った曲と言うのはすごく面白いですし、この曲はあのレコードからサンプリングしていたんだと後から知ることも楽しみの1つです。
と言うこともあって、ハウスミュージックを作っていた僕はサンプリングを作曲手法として使っていました。
アイデアはどうやって出てきたのか
曲のアイデアはどうやって出てきたのかと言うと、これはもうサンプリングと言う手法そのものがアイデアと言っても過言ではありません。
つまり、どの曲をサンプリングをするかと言うところから入ることが多いからです。
この時に作った曲の場合、いつかはこの曲をサンプリングして作ってみたいなーと思っていた楽曲がもともとあって、次に本腰入れて作る時間が取れたのでやってみたと言う感じ。
要するにアイデアは、もともとあったレコードの収録曲から出ました。
サンプリングを使わない作曲方法の場合でも、好きな曲をモチーフにして似たようなアレンジで作る人もいますし、そのまんまフレーズをぱくって同じ今回のメロディーで作曲する人もいます。
世の中的にはそれをあまりよくないことだと思う風潮もありますが、音楽の作り方の1つとして「元ネタ」と言う考え方ですから、良い意味でパクるのであると考えていけば良いのではないでしょうか。
作曲手順
作曲手順としては明確に決まっていません。
まず使うフレーズ(サンプルとして使う部分)を決めてサンプラーに入れます。
それを加工してコンピューター上でコピーアンドペーストしながら配置していくのが最初です。
そこにリズムトラックを作って(リズムトラックの音一つ一つも別のレコードからサンプリングする)、フレーズサンプルに混ぜていきます。
さらにベースを加え、別のサンプルを加え、シンセサイザーなどの外部音源の音を加えていきます。
そして、ミックスした全体を再びサンプリングして、フィルターなどのエフェクトをかけ、全体にコンプレッションをかけて音月を増して出来上がりです。
実際にはこれらの手順は何度も何度も行ったり来たりしながら、ここでは触れてない別の流れも超えたりして完成していきます。
一旦完成しても、それをすぐに人に聞かせるのではなくて、別バージョンをいくつも作るんです。
いくつかのバージョンを作ってみて、メインミックスとしてふさわしいものを選んで聞いてもらう感じですね。
またメインバージョンを作ったら、それに付随するダブミックスをいくつか作っていきます。
リズム主体のもの、ギターのフレーズ主体のもの、音声サンプルを繰り返し繰り返し入れたもの、などです。
楽曲完成までの作業時間はトータルで何時間か
曲を作ろうと思ってから完成するまでの時間はどれくらいでしょうか?
作曲の作業は、考えている時間が1番多く、次に作った部分を聞いている時間が長く、次にサンプラーなどの機材操作の時間、最後にコンピュータに音階を入力している時間の順番です。
明確にこの作業に何時間と言うのは言えませんが、日数で言えば40日位かけました。
そのうち本当に作業にあてた時間と言うのは1日10時間程度でしょうか。
と言う事は、1曲(複数バージョンを含む)作るのに400時間かかったことになります。
作曲に使った機材やコンピューターは?
ダンスミュージックを作るには機材が色々と必要です。
シンセサイザーやドラムマシンなどの音源、サンプラー、コンプレッサーなどのエフェクター、レコードを鳴らす男テーブル、その音をコンピューターに取り込むためのオーディオインターフェイス、複数の楽器を混ぜて調節するミキサー、ギター、リコーダー、コンピューターなどが必要になってきます。
僕が使っていたサンプラーは赤いのエス3000 XLと言う機種です。
コンピュータは、当時使っていたPower Mac G4 450デュアルでした。
2020年今現在は、こうした大規模な機材構成ではなく、ほとんどノートパソコン1台で事足りてしまいます。
器材はインターフェイスなど最小限のものでオッケーで、音源やサンプラーはプラグインのアプリケーションなどで代用。
DAダブリューと言うオーディオ編集とシーケンサーが一緒になったアプリケーションが非常に進化していて、どのアプリを使うのかと言うのも結構重要かもしれません。
僕はアップルのロジックプロを使っています。
ただし、2000年に作成したあの曲を作った時は、キューベースを使っていました。
できれば今もキューベースを使いたいのですが、結構値段が高いんです。
ロジックは昔に比べてすごく安くなっていて、20,000円台でApp Storeで購入可能。
世の中変わりましたね。
と言うことで、今回は音楽レーベルと契約した時の曲の作曲方法と作業手順、作業時間を振り返ってみました。
今はあの頃とかなり作曲の環境が変わっていますので、具体的な作業方法などはあまり参考にならないかもしれません。
ですが、レコードをリリースにつながるようなクオリティーの曲を作るのはかなり面倒な作業が必要だと言う事は現在も変わっていないと思います。
今はApple Loopなどを使って簡単に上質な音を作ることができますが、それは自分だけの特権ではなく誰もができることなので、そういう意味ではアイデアをどうにかして絞り出すような生みの苦しみが以前よりも大きくなっている可能性ありますね。
この記事が少しでもあなたの参考になれば嬉しいです。